※写真は、高2生H君からの質問の解説。
★英文読解力のつけ方(浪人生K君の進捗と絡めて)
オールラウンド渡辺です。
この数ヶ月間、浪人生のK君に英語対策として「東大、早稲田、神戸大などの過去問を用いた英文読解の指導」をしてきましたが、今日で計28題を終え、少しずつK君の読解力も上がってきました。
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高度な英文読解に必要な作業は大きく分けて以下の3つだと、僕はそう考えています。
1.
SVOC、句・節を正確に置く。(考えられる置き方のパターンが複数ある場合は、全パターンを洗い出す)
※「細部」を見る作業。
2.
本文の大意(要約、対比など)をつかむ。
※「全体」を見る作業。
3.
その大意に沿って、訳出パターンが複数あった部分はその中から「文意の通るパターン」だけに選択肢を絞る。
※「細部」と「全体」を統合する作業。
【この英文読解指導を始める直前のK君の状況】
・単語は、一つ目の意味(メインの意味)は1600まで9割マスター。
・SVOC、句・節、品詞のルールも9割マスター。
【指導を始めてから今までの、K君の読解演習手順】
1.
SVOC、句・節を置く。
2.
and、or、between、not onlyなどが出たら、並列関係にある部分にA、B、C、…を置く。
3.
訳せそうなところから口頭で訳し、徐々に大意をつかんでいく。
4.
つかんだ大意をもとに、残りの訳せなかった部分も口頭でより正確に訳していく。
5.
正解と解説を読み、新たな読解知識・読解テクニックを学習する。
【この手順で進んでみて、現段階でのK君の状況】
・SVOC、句・節、and・orの並列関係は、より正確で、よりスピーディーに記入できるようになった。
・反面、正確な訳がパッと言えなさそうと判断した時点で、わりとすぐに音を上げる。
※知識がない段階では効率良い姿勢だが、知識もあり読解力を鍛えている現段階では、もう少し粘る姿勢(※後述)がベター。
・単語の意味を一つ程度しか覚えていないので、「訳がカタいor適切でない」といった状況が、チラホラ出ている。
【上記現状を踏まえ修正してみた点】
・これまでの「口頭」和訳から、「記述」和訳へと変更。
【修正の効果】
・演習初期だったらすぐ音を上げていたであろう今回の神戸大の過去問にも、基礎力がついたおかげでかなり長い時間、記述和訳作業に取り組めていた。
・自身の訳を「見える化」することにより、口頭のときと比べて軌道修正作業が容易になり、すぐに音を上げていた状態が改善された。
・単語の二つ目以降の意味を覚えていないことによる誤訳や、時制などのうっかりミスが見えたことによって、より強い改善意識がついた。
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英語力(読み書き)についてですが、「単語」、「文法」、「読解」などの各次元をすべて同時に鍛えるのは効率が悪い、と僕は考えています。
なので、オールラウンドではまず、
【ステージ1】として
「単語」、「熟語」、「文法」など、
『比較的、論理力を使わないもの』
を身につけ、
その上で
【ステージ2】として
「構文」、「読解」など
『比較的、論理力を使うもの』
を鍛えるようにしています。
K君もその流れに沿って、ある程度ステージ1をクリアした上で今のステージ2を鍛えていますが、難関大向けの指導にも挫折することなく順調に進んでおり、また「負荷の高い方の鍛え方(※後述)」にも耐えられるようになっています。
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★学習段階と、それに応じた勉強法の使い分け
勉強の方法(成績の上げ方)には、大きく分けて以下の2つの方法があります。
(i)
答えを見ずに自分の頭(=すでにもっている知識と知恵)だけで問題を解く方法。
(比較的、負荷の高い勉強法)
(ii)
先に(orすぐに)答えを見て、それを覚えた上で問題を解く方法
(比較的、負荷の低い勉強法)
以前のブログ(2019年3月5日)で僕は、「先に(orすぐに)答えを見る方法」が効率の良い勉強法だと述べました。
が、今回のK君には、逆に「答えを見ない勉強法」の方を採用しています。
なぜか。
理由を以下に述べていきます。
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問題に対し「全く解けない状態(スタート)」から「制限時間内に、自分の頭だけを使って解ける状態(ゴール)」にいたるまでの段階は、大きく分けて3段階あると僕は考えています。
最初の段階は、「無知」。
これは、上に述べた「全く解けない状態」のことで、全く習ったことや解いたことがない、または理解ができていない等の理由で、習ったにもかかわらず手も足も出ない状態。
次に、「理解」。
これは、問題に対し全く手も足も出ないワケではないが、理解不足や練習不足等により、「制限時間内に自分の頭だけを使ってという条件では、まだ解けない状態」
※解説を見たり、先生など他人から説明を受けると、思い出せる、あるいは理解ができる状態。
そして、最後は「定着」。
これは上に述べた「制限時間内に、自分の頭だけを使って解ける状態」のことで、もとから得意であったり、習ったことを反復練習したことにより到達できる状態。
ではここで、
・「平安京遷都の年は、794年」、「円周の長さの公式は、2πr」ということを、子どもに初めて学習させる。
といった状況を設定してみます。
※先ほどの「無知」段階を指しています。
みなさんは、この子どもに対して以下の2通りのうち、どちらの方法で問題を解かせるでしょうか。
(ア)
問題を解かせてみてから、その後で正解や解き方を見せる。
(イ)
正解や解き方を見せてから、その後で問題を解かせる。
おそらく、多くの方が(イ)の方法を選んだのではないかと思います。
この例からも分かる通り、「無知」から始める学習には、上の(イ)や(ii)のように、『先に(orすぐに)答え・解き方を見るという、比較的、負荷の低い勉強法 』が有効と考えられます。
では次に、「答えを見たり他人から説明を受けると理解できるが、制限時間内に自分の頭だけを使ってという条件では得点できない段階」に入った子どもについて、考えてみましょう。
※上記「理解」の段階を指しています。
みなさんは、この子どもに対して上の2通りのうち、どちらの方法で問題を解かせるでしょうか。
今回は子どもが(イ)の段階をクリアしている上で得点できていないのだから、「既に知ってはいる解答を『自力で素早く』導くための訓練」として、おそらく多くの方が(ア)の方法を選ぶのではないでしょうか。
この例からも分かる通り、「理解」から「定着」へと移す段階では、上の(ア)や(i)のように、『答えを見ず解くという、比較的、負荷の高い勉強法』が有効と考えられます。
以上、要約すると
・「無知」から「理解」に向かう学習『初期』段階では、「先に(orすぐに)答えを見る方法」が有効。
・「理解」から「定着」に向かう学習『仕上げ』段階では、「答えを見ない方法」が有効。
と僕は考えており、これが以前のブログと今回のK君とで真逆の方法をとっている理由です。
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個人個人、あるいは同じ人でも成長段階に応じて、問題点や改善方法は変わります。
それらに対し、一つのやり方に固執せず、長期的により効果が出るような工夫を、これからも続けていきます。