『高校まで』と『高校以後』の勉強の仕方の違い

※写真は、高2生H君からの質問の解説

(32π/3ではなく、28π/3です)

 

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オールラウンド渡辺です。

 

 

「高校まで」と「高校以後」の勉強の仕方の違いについて。

 

 

まずは東洋経済オンラインより興味深い記事があったので、下記にて一部引用します。

 

 

 

引用元:

 

読解力は「頭のOS」のバージョンによって決まる

子どもの地頭をよくする7つの「魔法の言葉」

 

https://toyokeizai.net/articles/-/277193

 

 

 

(引用文)

 

 

『例えば、Windowsの初期版であるWindows95に、ワード2018という新しいソフトはインストールできるでしょうか。入りませんよね。入ったとしてもすぐにフリーズするはずです。しかし新しいOS、Windows10であれば、どのようなソフトもインストールが可能で、サクサクと動くことでしょう。

 

実は人間の頭脳もこれに例えてお話ができます。パソコンのようにOSにあたるものがあると考えてみてください。一般的には「地頭(じあたま)」と言われるものです。一方で、ソフトのインストールを日々やっています。子どもの場合、このソフトとは英数国理社などの科目にあたります。

 

しかし、ここで次のような問題が起こります。

 

「OSのバージョンが新しい子はどのようなソフト(科目)もインストールできるが、OSのバージョンが古い子はインストールできないかフリーズを起こしている」

 

小学校の内容が対応できるOS搭載であれば、小学校時代は問題ありませんが、中学の内容ではフリーズ起こします。中学の内容まで対応できるOS搭載であれば、中学校時代は問題ありませんが、高校の内容ではフリーズ起こします。

 

勉強でつまずいていく子は、こうした問題に直面していることがあるのです。

 

 

ところが、家庭では科目の出来、不出来といったソフトにばかり目がいきます。そしてそれを何とかインストールさせようと、強制的に勉強をやらせたり、塾に入れたりと様さまざまな手段をとります。しかし、ソフトばかり詰め込んでも何も変化は起こらないのです。

 

《中略》

 

では頭脳のOSのアップデート方法についてお話ししましょう。方法はいくつかあるのですが、その中でも家庭でできる1つの方法をお伝えします。

 

それは、日常生活の中での「子どもとの対話」で行っていきます。そこで使用する言葉のことを筆者は「マジックワード(魔法の言葉)」と呼んでいます。詳しい言葉の意味はこれまで、複数の著書に書きましたが、代表的な7つのワードを挙げると次のような言葉になります。

 

「なぜだろう?」(原因分析)

「どうしたらいい?」(問題解決)

「要するにどういうこと?」(抽象化思考)

「例えばどういうこと?」(具体化思考)

「何のためだろうね?」(目的意識)

「そもそもそれってどういうこと?」(原点回帰)

「もし〜だったらどうなるだろうね?」(仮説構築)

このような言葉をかけられると人は「考え出す」のです。』

 

 

(引用終了) 

 

 

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さて、それでは

 

 

『高校までに必須の力』

 

 

『高校から必須の力』

 

 

とでは、実際に何が違うのでしょうか。

 

 

 

僕が考えるのは、下記の通りです。

 

※レベルの違いを分かりやすくするため、ものすごく単純化します。

 

 

 

・高校入試など『高校までに必須の力』は、

 

 

『思い出す力』

 

 

つまり、

 

 

「指示された『暗記内容』を、正確に素早く引き出す力」

 

 

です。

 

 

 

・大学入試など『高校から必須の力』は、

 

 

『考える力(冷静に、論理的に組み立てる力)』

 

 

つまり、

 

 

「暗記したものの中から『どれとどれを使うべきか』を、目の前の問題に応じ自分の頭で素早く正確に、正しい順番で選び出す力」

 

 

です。

 

 

 

ちょっと抽象的すぎて、イメージがわきにくいかも知れませんね。

 

いろいろと例えてみます。

 

 

 

【たとえば野球なら】

 

・中学までは、

 

『相手の打つ球の方角と距離』

『相手の作戦』

『誰がいつどこで盗塁するか』

 

などが分かった上で、

 

「練習した行動の正確かつ素早い再現」

 

 

が求められるイメージ。

 

 

・高校からは、

 

相手の打つ球も作戦も何も分からない実際の試合で、

 

「相手の動きが見えてから行う、都度都度の最適な動きや素早い行動」

 

 

が求められるイメージ。

 

 

 

【たとえば楽器なら】

 

・中学までは、

 

音符や

和音や

抑揚

 

などが載った楽譜を見た上で、

 

「練習した通りの正確な演奏」

 

 

が求められるイメージ。

 

 

・高校からは、

 

楽譜は渡されず、耳だけで演奏を聞いた上で行う

 

「都度都度の最適な、即興(事前準備なし)での再現演奏」

 

 

が求められるイメージ。

 

 

 

【たとえばテトリスなら】

 

・中学までは、

 

でる形と順番が分かっている上で、

 

「練習通り正確かつ素早く相手に勝つこと」

 

 

が求められるイメージ。

 

 

・高校からは、

 

出る形も順番も何も分からない実際のゲームで、

 

「相手の動きを見ながら勝つための、柔軟で正確で素早い判断力と行動」

 

 

が求められるイメージ。

 

 

※実際の高校入試はもっと難しいですが、大学入試で難関大学合格を乗り越えた人が高校入試を見ると「感覚的にこれくらい差を感じる」というニュアンスで例えています。

 

 

 

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「高校に入るまでは良い成績だったのに、高校に入ってから成績が下がる人」の大きな特徴の一つは、

 

 

「高校で必須の力」

 

 

を使わず、

 

 

「高校までに必須の力」

 

 

だけで何とか高校時代も乗り切ろうとしていることだと考えられます。

 

 

 

もしそうだとするならば、高校で下がった成績を上げるためには

 

 

「使う力」

 

 

すなわち

 

 

学習「姿勢」

 

 

 

を変えなければならない、

 

 

 

ということになります。

 

 

 

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ちなみに、上記の「高校までに必須の力」は、「外部からのプレッシャーに大きく依存する方法」を使っても、その力を鍛えることができます。

 

 

なぜなら、

 

「高校までに必須の力」で解く試験は、

 

 

・比較的、明白で単発的な『暗記内容』を問う問題

 

であり、

 

・『暗記内容』さえ素早く正確に思い出せれば得点できる

 

 

から。

 

 

つまり、自分で考える力はそれほど必要とされません。

 

 

 

が、「高校から必須の力」は、「 外部からのプレッシャーに大きく依存する方法」を使うと、その力を鍛えることが難しくなります。

 

 

なぜなら、

 

「高校から必須の力」で解く試験は、  

 

 

・見極めにくく、かつ複数の『暗記内容』を問う問題

 

であり、

 

・暗記内容をただ思い出すだけではなく、使うべき暗記内容を『自分の頭を使って』正しく選び出したり正しく並べたりしなければ得点できない

 

 

から。

 

 

つまり、自分で考える力がものすごく必要になります。

 

 

 

またちょっと抽象的すぎて、イメージがわきにくいかも知れませんね。

 

 

・『暗記内容』の量や組み合わせ方がより複雑になるほど、「外部からのプレッシャーに依存する方法」の効果がより小さくなる

 

 

の具体例を挙げます。

 

 

例は、

 

『300m先のクマが、自分(ヘッドホンをつけている)に向かって全力疾走しだした状況』

 

です。

 

 

 

この状況で、下記の2通りの場合分けを考えてみます。

 

(1)「645年」か「794年」かのどちらかがヘッドホンから聞こえ、「大化の改新」か「平安京」かを正しく答えられれば、クマが撃退される。

 

(2)「tan1°は有理数か」とヘッドホン越しに急に聞かれ、理由も含め正しく答えられれば、クマが撃退される。

※ちなみにこの問題は、2006年度京都大学の入試問題。ほとんどの受験生が解けなかったとも噂される難問です。

 

 

上の2通りから恐らく考えられるであろうことは、

 

 

・(1)のように「簡単な暗記内容」を問う問題では、

 

「クマが迫ってくる」という「外部からのプレッシャー」によって、『素早く答えられる』という効果を得ることができる。

 

 

・(2)のように「複数かつ、より複雑な暗記内容」を問う問題では、

 

この「外部からのプレッシャ」ーが、かえって思考能力を阻害してしまう

 

 

の2点。

 

 

 

つまり、(2)のように

 

 

・暗記内容が複数になるほど

 

そして

 

・それらの暗記内容を駆使し立ち向かう問題が複雑になればなるほど、

 

 

できる限り

 

 

「外部からのプレッシャーに晒されず」

「リラックスかつ集中している状況で」

「自分の頭を使って」

 

 

考えることが必要になってくる

 

 

ということが、何となく直感的にイメージできたのではないでしょうか。

 

 

 

たしかに、高校のテストや大学入試が(1)のように単発の知識問題だけであれば、

 

 

反射神経を高めてくれるサポートの有効性

 

 

が非常に強力に映るかもしれません。

 

(なぜなら、単発の知識問題はそれほど深く考えなくても反射神経だけで答えられるから)

 

 

が、これまで述べてきた通り、「高校まで」と「高校以後」では、問題への

 

 

取り組み方

 

 

がものすごく大きく変わります。

 

 

 

「冷静に、論理的に考える力」

 

 

が求められる高校以後では、 「反射神経を高めてくれるサポート」は有効性が小さくなるばかりか、自身にとって有害にすらなりうるのです。

 

※理由の詳細は、上記のクマの例で説明した通りです。

 

 

 

 

高校レベル(大学入試レベル)のすべての問題を

 

 

「別に深く考えなくても、単発の知識問題のときのように、反射神経だけでササっと解けるはずだ」

 

 

と誤解したままでは、学力はアップしない

 

 

 

という話でした。

 

 

 

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以上を踏まえて、

 

 

「厳しくされないと頑張れない」

 

「別に深く考えなくても、単発の知識問題のときのように、反射神経だけでササっと解けるはずだ」

 

 

と言う高校生以上の学生は、

 

 

・その考えは、本質的に正しく「ない」

 

 

ということが、何となくイメージできたでしょうか。

 

 

 

では逆に、

 

 

「厳しくされなくとも、頑張る気持ちは誰にも負けない」

 

「ただ、自力では『冷静に、論理的に組み立てる力』の鍛え方が分からない」

 

 

といった悩みを強くもっている学生は、どうすればよいでしょうか。

 

 

断言しましょう。

 

 

オールラウンドはその力を、本人の想像を超えるほど強く鍛えます。

 

 

 

 

 

具体的にこれまでオールラウンドで実践してきた鍛え方の例は、

 

 

2019年3月5日のブログで書いた『点数が効率よく伸びると思われる行動の具体例』の共有

 

・塾生個人個人の「目標」と「現状」との間のギャップ分析(トップダウンのスタートでも、徐々にボトムアップへ)→PDCAサイクル回し

 

 

など。

 

 

そして、

 

『冷静に、論理的に組み立てる力』を鍛えるため、オールラウンドで個別PDCAサイクルを繰り返した塾生たちが実際に達成した結果のレベルは、

 

 

当塾ウェブサイトのトップページ

 

 

に示している通りです。

 

 

 

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今回のブログは以上です。

 

 

 

ここまで考察した上で、今後考えていきたいテーマは、

 

 

・『高校までに必須の力』だけで何とか高校レベルの試験を乗り切ろうとしている学生は、どういうサポートがあればより効果的に『高校から必須の力を使う姿勢』を得られるのか。

 

 

その姿勢の獲得を阻む原因は、3つ前(2019年4月30日)のブログでも少し分析していますが、引き続き考えていきます。

 

 

 

高校までのやり方で高校以降つまずいてしまっている一人でも多くの学生が、また楽しく実力をつけていけるように、引き続きできるサポートをしていきたいと思います。